「最後から二番目の恋」(’12)「続・最後から二番目の恋」('14)フジテレビ

 二番目というのは、意外なほど予想外な現実があるのかもしれません。

 

 一番というとそれだけで目立つわけで、誰もがドラマチックな展開を予想どころか、当然のごとくに期待しているといえるでしょう。オリンピックで一番といえば金メダルです。自分の楽しみとして競技したとしても、一番の表彰台では国の代表として国歌が流されます。国民栄誉賞などという表彰さえあり得ます。大きなものじゃなくても、一番というと二番よりは視線が多くなります。二番を知っているが、一番を知らないということはほとんどいないでしょう。

 

 その次の注目というと、今度は最後でしょうか。最後のなんとかというと決して弱いものではないのですが、大概は大切にされます。最後の一匹というと絶滅危惧種などといわれて、あのトキのように、その繁殖は国家的プロジェクトになったりします。運動会の短距離走で転倒して、最下位になってゴールしても、温かい拍手は必須です。有終の美なんて言葉もあるぐらいです。

 

 さて今回お題にいたしました「最後から二番目・・・・」という題名、非常に微妙です。ブービー賞などという言い方もありますが、とても軽いニュアンスがあります。最後にしてもそうなんですが、すべて終わってみないとわからないということなんですね。「最後の恋」というと、あの世への旅たちを控えているような状況でないと断定できませんし、初恋よりは明らかに存在感があります。また、元気なのに「最後の恋」なんて言うと刹那的覚悟みたいなものを感じないではいられません。力入ってます。しかし、その前の「最後から二番目」といってしまうと、あまりにもあいまい過ぎてしまいます。少なくとも最後が確定していないので、ある意味どうでもいい存在といっても過言ではありません。しかし、それは大団円の主役たる「最後」あっての二番目なわけです。もしかすると、最後につながるきっかけにもなるのかもしれません。軽いのですが、ほのかな期待があるんですね。遊び心も満載でしょう。とにかくは楽しそうです。

 

 

 主人公は吉野千明(小泉今日子)、テレビ局のドラマプロデューサーで、独身、既婚歴なしの46歳。

 

 そのお相手らしきものは長倉和平(中井貴一)、市役所の観光振興課、課長、既婚歴はありますが死別、子供(女子)が一人いる50歳。

 

 そして舞台は鎌倉です。一度は日本の政治中心地として栄えた場所です。京都とも東京ともあまり関連をもたず、非常に独自性の強い文化の軌跡を残しています。いかにも「兵どもが夢のあと」といった感じが、「二番目の」という軽いニュアンスとよくなじんでいるような気がします。

 

 

 長倉和平はいかにも鎌倉武士という田舎臭さというか、いい感じの野暮ったさをかもしだしています。吉野千明は鎌倉の良さを堪能しながらも、仕事に臨めば戦国武将のごとくに大刀を肩にかけているかのように奮闘します。そうです、二人とも武家なんですね。お互いに理解しあっていても、意地を張らないわけにはいかないのでしょう。「武士は食わねど、高楊枝」などといいますが、そのつまらぬ意地がもとで丁々発止の切り合いになります。

 

 年齢的には、50の壁1枚の前後に二人はいますが、職場では働き盛りです。大人にならなくてはと思いながらも、老成してなるものかと、奮闘します。二人とも勢いを失いたくはないのです。それぞれが火の粉を振り払いながら立ち回り、気が付くとお互いが隣同士で座っていて、思わず声をかけあうような距離感が妙に現実的です。

 

 題名が「最後から二番目」ですからゴールインは先のこととしているのでしょうが、ある意味ではもうお決まりな決着は見えているかのようです。それでも、決着してしまった恋愛よりも、まだ蕾のうちの恋の方が面白いということなんでしょうね。とにかく、息抜きがしたいときに最適な作品といえるでしょうね。

 

 

 鎌倉といえば、坂の多いところとしても有名ですね。上り坂、下り坂、そして人の世にはもう一つありますね。

「まさか」です。

 

 さて、そんな鎌倉の地で、二人はどんなまさかに遭遇するんでしょうか?

 

 

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