"Turn To Stone"(in #22 of "Gray's Anatomy"season5)

 

 この歌はグレイズ・アナトミィ(Gray's Anatomy)シーズン5の22話、「人生最高の日("What a defference a Day makes")」のクライマックス、結婚式のシーンでBGMとなった曲です。唄っているのはイングリッド・ミカエルソン(Ingrid Michaelson)というシンガーソングライターです。ドラマを見ていてこの歌が聞こえて来たのですが、呟くように歌っているので、よく聞き取れなかったのです。調べてみるとの歌詞はすぐに見つかったのですが、シンプルな英語にもかかわらず、意味深く少々難解なように感じました。早速、歌手本人を調べてみると、日本語のウィキペディアさえありません。和訳も見当たりません。いかにも英語らしい表現とでもいいましょうか。日本の英語教育の教科書では理解できない感があります。まずはturn to stoneという題名がもう既に不可解です。「石に替わる」? (妖女ゴーゴンにでも出くわして、恐ろしさのあまりに石にでも変わったの?) ドラマの筋書きに戻って考えるとなんとなくわかりました。石=墓と見立てて「亡くなるまでに」と理解するのが好ましいのではないでしょうか。お題としては  MUSICが適当かと思うのですが、ドラマを見ることなくして、理解と感動を得られないと思い。ドラマでのお題としました。

 

"Turn To Stone"

Let's take a better look
beyond a story book
And learn our souls are all we own
Before we turn to stone

 

いい顔をしましょう
運命なんか乗り越えて
そして 知りましょう
魂が私達自身のすべてだということを
私たちが石に変わる前にね(墓に入る事と解釈しました)

 

Let's go to sleep with clearer heads
And hearts too big to fit our beds
And maybe we won't feel so alone
Before we turn to stone

 

頭をすっきりさせて床に着きましょう
私たちのベッドには二つのハートは大き過ぎです
多分私達はそんなに孤独にはならないでしょう
私たちが石に変わる前に

 

And if you wait for someone else's hand
You will surely fall down
If you wait for someone else's hand
You'll fall, you'll fall

 

あなたが他の誰かの腕を待ってるんなら
あなたはきっと落ちていくでしょう
あなたが他の誰かの腕を待ってるんなら
落ちますよ 落ちますよ

 

I know that I am nothing new
There's so much more than me and you
But brother how we must atone
Before we turn to stones

 

知ってるわ
私に新しいことなんてないことはね
私とあなたならなおさらよ
でも修道士さま

私達はどうやって償うべきなんでしょう?
石に変わる前に

 

 

 昔、医師と言えば無条件に「先生」と呼ばれ、患者の命を救いだす神様のような存在でした。「病は気から」という暗示ともいうべき呪(まじな)いは、物の不足して時代においては過小評価できない医術でもあったといえるでしょう。そんな時、医師は明らかに科学者というよりは魔術師であったのかもしれません。患者にとってみれば回復さえすればいいのです。もし助からなくても、運命を受け止めるための宣告が魔術師、否、医師の一言であったのでしょう。そんな宗教的な存在から、科学者として確立されている現在、医師という職業は患者の命を預かるという性質ゆえに、非情な理不尽さを抱え込んでいると言えるのかもしれません。患者と向き合うときには、気後れなどもっての他で、「常に自分が最高」であると自負し、またそのように結果を出すべく判断し、実行しなければなりません。なのに自らも人間であるがために、患者の側に回らないという確証もありません。そうなってしまえば、医師という役者の舞台裏を熟知しているだけに、一般患者のような気休めを用いるわけにはいかないでしょう。確かに病気やけがを治す専門家ですから、自らの健康には十分な注意を怠ってはいないでしょうが、多忙ゆえの無理の連続があったり、病魔の到来の不運は確立的にも避けられないのです。

 

 このグレイズ・アナトミー(グレイの解剖学)はそんな医師の舞台裏をさらけ出す、まさに解剖する物語です。医師にもその経験によって、階級みたいなものがありまして、最下層をインターン、次をレジデンス(研修医)、一人前と認められた医師をアテンダントと呼ぶようです。知識だけでも膨大な量におよぶ医学。それでも人間を助けようとすると多くの経験を要する医師。でも、彼らも同じ人間なのです。その仔羊がどのように助け合っていくのかは、別に医師の世界にかかわらず、すべての人間にも必要なことでしょう。そういった意味では、命がかかる医師の世界は最も根源的にはっきりしているといえるかもしれません。

 

 あるレジデンスの女医がガンにかかります。 メラノーマという転移性の強いものです。同僚の努力により、進行を遅らせる努力がなされ、それは成功しました。余命短い彼女は、同僚の結婚式をプロデュースします。そんな矢先、再び腫瘍が見つかります。今度は脳で、かなり深いところです。手術できない可能性が高そうです。「何かできることがあればいいんだが」と語りながら、たどり着いたのは結婚式の中止ではなく、ちょっとした変更でした。

 

(In church)

Take my hand.

Dearly beloved, we are gathered here today to celebrate the

wedding of Alexander Michael Karev and Isobel Catherine

Stevens.
This is a sacred rite
.....an ancient rite.

As Isobel and Alex prepare to join their lives,
it is important to understannd that everyone present has

played a part in shaping their lives,
and will continue to play a vital role in their continuing

future.
And thus, we are here not only to witness their vows to each

other, but to bestow upon them our blessing.
And now, the couple will read their vows.

We didn't write anything.

No. Wait, I have something I want to say.

Today's the day my life begins.
All my life I've been just me.
Just a smart mouth kid.
Today, I become a man.
Today, I become a husband.
Today, I become accountable to someone other than myself.
Today, I become accountable to you. To our future.
To all the possiblities that our marriage has to offer.
Together, no matter what happens, I'll be ready.
For anything. For everything.
To take on life. To take on love.
To take on possibility and responsibility.
Today, Izzie Stevens, our life together begins.
And I, for one, can't wait.

I love you.

Not yet.
Hurry up.

By the power vested in me by God and the state of Washington,
I now pronounce you husband and wife.

Now?
 Now.

You never know the biggest day of your life is the biggest

day.
Not untill it's happening.

 

(教会にて)

手を貸そう

(牧師)親愛なる皆さん 私たちは

アレクサンダー・マイケル・クレブと

イザベル・キャサリン・スティーブンスの結婚を祝うために今日、ここに集いました

これは神聖な儀式です

これは伝統的儀式です

イザベルとアレックスが人生を共にしようとしている今

是非心にとめてください。

二人の人生が創られるうえでみなさんも役割を果たしてきたのです。これからも二人の人生の中で重要な役割を担うでしょう。

 ですから、みなさんは結婚に立ち会うだけではなく、祝福をさ捧げるためでもあるのです

 

では新郎新婦の誓いの言葉を

 

用意してないんです

まった 

俺は言っておきたいことがある

今日、俺の人生が始まる

これまでの人生で俺は俺だけだった

ただの生意気な若造

今日 俺は男になる

今日 俺は夫になる

今日 俺は自分自身の責任を取る

 

今日から俺はおまえに責任を持つ

俺たちの未来にも

結婚生活のあらゆる可能性に対しても

 

おまえとなら何が起こっても構わない

覚悟を決める

何に対しても どんなことでも

人生を引き受ける

愛を貫き

責任と可能性を引き受ける

イジ―・スティーブンス

今日俺たちの人生が始まる

俺としては待ちきれない

愛してる

まだ

早くして

神とワシントン州から与えられた権限によって

今 あなた方が夫と妻であることを宣言します

いい?

どうぞ

人生最大の日が、実際に最大になるかはわからない

 

なってみるまでわからない

 


 

 新郎の誓いの言葉は、この日の急患として彼が治療した大学生の言葉を流用したものです。その大学生は卒業生代表として答辞を語る予定でした。しかし、学校へと向かう途中で交通事故に遭い、同乗していた同級生はすべて亡くなります。生き残り狼狽する彼女を落ち着かせるために、この若き医師は答辞を語らせます。そして、彼女だけはかろうじて命を留めたのです。卒業式で語られなかった無念の答辞は、新郎の誓いの言葉として生き返ります。まるで、亡くなった彼らを蘇生するかのように!・・・・・・。

 

 私個人としては、このセリフを言うためだけにでも、もう一度結婚式を挙げてみたいと思わずにはいられませんでした。みなさんはどう感じられるでしょうか?

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