夏冬ランデブー

 花やの店長に恋をした青年が、彼女の部屋に入って最初に見たものは、死別したはずの彼女の夫でした・・・。といった感じで始まるラブコメディなんですが、彼女本人にはその幽霊は見えません。その青年の登場する以前にもその幽霊が「男除け」として出現したかどうかは不明ですが、ディフェンスとしては明らかに最強だといえるでしょう。ところが、彼女本人は、全く男除けなど必要としないほど、前夫のことを愛し続けています。だから、青年がバイトとして身近な存在になったとしても、彼女が彼を意識することはありません。そして、青年が「浮気でもいいですよ」と声をかけるとこから物語は急展開を始めます。

 花屋「Shimao」の店長、島尾六花(しまお・ろっか)は夫と死別した未亡人。偶然通りかかった花屋で彼女をみそめた青年、葉月亮介(はづき・りょうすけ)は店に通い詰めるうちに、その店のバイトに転がり込んでいきます。


 そして、ある日、店の用事で彼女の部屋を訪れた彼を迎えたのは、パジャマ姿の男でした。亮介は、自分の下心を見透かした彼女が、男の存在を示そうとしたのだと誤解し、すぐに立ち去ります。やがて、亮介はその男が、前夫、島尾篤(しまおあつし)の幽霊であり、彼女には幽霊の存在がわからないことを知るに至ります。つまり、その幽霊は亮介にしか見えないのです。

 前夫の思い出から離れられない六花。生前は達観を装いつつも、死の直前、己の未練を自覚した島尾。素直に一目ぼれしただけなのに、一途な性格ゆえに複雑な状況に自ら入り込んでいく葉月。本来はまともな三角関係になどなるはずはないのですが、この三人の常識離れした一途さが、しっかりと三角関係を成立させてしまいます。


「生きていれば、自分が六花の夫」と自負しながらも、今は何もしてあげられず、見つめているしかできない島尾。彼女の口から聞く過去から、彼女の葛藤を理解し、「俺、生涯二番手でもいいんです」とまで語る葉月。過去と現在の「一途さ」の間で、揺れ動く六花。最近では忘れられていたかのような恋愛観が、花屋を舞台に花開いていきます。


 女性誌に載っていた作品のせいでしょうか。心理描写の焦点は男性にあります。同じ女性として感情移入している視聴者にとって、彼女の心情を表現しすぎるとくどいというところでしょうか。


 

 さて、このアニメと遭遇してしまった男性諸君! あなたはどちらの男性を応援しますか。 

 

 同じく女性のみなさん! あなたは過去と未来どちらを選択するでしょうか! 

 

 原作を読んでおいてこんなことを言うのははなはだ勝手なのですが、まだ読んでいないみなさん、私は放送が終ってから、コミックを手に取ることをお勧めします。

このブログに掲載されたものすべての転載、複写をお断りいたします。

最近の記事